「個人型確定拠出年金(iDeCo)」のメリット・デメリットについて

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サラリーマン初心者トレーダーの「のりすけ」です。

「楽天証券で「つみたてNISA」を始めてみた!」という記事で、私が「つみたてNISA」を利用していることをご紹介しましたが、「NISA」と同じく、国の施策として行っている制度として、「個人型確定拠出年金(iDeCo)」という制度があります。

皆さんもテレビなどで聞いたことがある制度だと思いますが、内容までは良く分からないという方も多いのではないでしょうか。

私は、既に「つみたてNISA」を利用しているのですが、もう少し投資信託などの積立てを増やしたいと考えていたので、税制面での優遇措置もある「iDeCo」を利用して運用を始めてみようと思い、制度の概要について調べてみました。

制度について調べてみると、メリットもある一方で、デメリットもあり、結構難しい制度だということが分かりました。「iDeCo」に興味があるけど、利用するかどうか迷っている方も多いかもしれませんので、自分なりに調べた制度の概要などについて紹介します。

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個人型確定拠出年金(iDeCo)とは?

iDeCo

iDeCoの概要

「個人型確定拠出年金(iDeCo)」とは、毎月又は月毎に決まった金額を積み立てて、積み立てたお金を運用することで、老後に備えることができる公的制度で、次のような特徴があります。

  • 20〜60歳までの国民年金・厚生年金加入者が利用できる
  • 積み立てた資金は、60歳から引き出し可能
  • 積立時、運用時、受け取り時の3段階で節税効果あり

皆さんも「国民年金」や「厚生年金」など、何らかの形で公的年金に加入していますので、一定の掛金を払うことで、所定の年齢になれば年金という形で金銭給付を受けることになると思います。

このような「公的年金」に対して、「個人型確定拠出年金(iDeCo)」とは、希望者が任意で参加することができる私的な年金となります。少子高齢化の影響などから、公的年金額の減少が見込まれる中、公的年金では不足する分を補うための制度となっています。

その歴史は意外と古く、平成14年1月から運用を開始しています。当初は、自営業者の方や企業年金の対象となっていない企業の方のみが対象となっていましたが、平成29年1月に対象が拡大され、20歳以上であれば加入できる制度となりました。

同じように自分で老後の年金を準備するための商品として、民間の保険会社などが販売している「個人年金保険」があります。「個人年金保険」についても、「個人年金保険料控除」が適用されるため、所得税と住民税が軽減されますが、iDeCoは運用益についても非課税となっていますので、さらにお得感が増しています。

iDeCoの加入者数

このように税制面での優遇措置があるiDeCoですが、実際の利用状況はどのようになっているのでしょうか。

iDeCoの公式ホームページで加入者数などの推移について公表しているのですが、現時点での最新の公表資料によれば、2020年2月時点での加入者数は153万人、2月の新規加入者数は4万2千人となっています。

加入者数は順調に増加していて、2016年12月時点の加入者数である30万人と比較すると3倍となっていますが、月毎の新規加入者数は減少傾向となっていますので、関心が高かった方々は一通り加入したという感じでしょうか。

この数字が多いのか少ないのかは良く分かりませんが、似たような制度である「NISA」の口座数が2019年12月時点で1,365万口座であることをみると、まだまだ利用が進んでいないと言えそうです。

iDeCoのメリット

iDeCo

積立時の節税効果

iDeCoは毎月一定の掛け金を積み立てますが、積み立てた金額すべてが「所得控除」の対象となります。たとえば、毎月1万円を積み立てると、年間で12万円が「所得控除」の対象となり、節税の効果が生じます。

「所得控除」扱いのため、上記の例でいうと12万円分の税金が安くなる訳ではなく、税率を掛ける基礎となる課税標準額から12万円分が控除されるということになります。

  • 「所得控除」:税額の計算のベースとなる所得の総額から一定の金額を控除
  • 「税額控除」:税額の計算後、税額自体から一定の金額を控除

私的な年金のためにお金を支出しているにもかかわらず、その分の金額が控除されて節税になるというのはお得な制度ですよね。所得額と積立額によって節税額が変わりますが、年間にすると数万円単位の節税も可能となります

インターネット上で節税額のシミュレーションができますので、どのくらいの節税効果があるのかを確認してみてください。

この節税効果だけでも、銀行などに預けているだけの場合と比較してもメリットがありますよね。当然、元本割れのリスクもありますが、積立商品を選択することでリスクをコントロールすることもできますので、節税効果とリスクとを比較してiDeCoの利用を検討すれば良いと思います。

運用益発生時の節税

iDeCoは、運用を開始してから60歳までの期間、投資信託などの対象商品から選んだ商品に対して、職業毎に設定されている上限額の範囲内で積み立てを行い、将来的に年金として受け取るための資金として運用します。

当然、運用益を出すことを目的にしているので、運用中、運用商品である定期預金に利息がついたり、投資信託が値上がりしたりして、資産が元金以上に増加することがあります。

通常、預金の利息や株式投資の運用益などに対しては、通常は利益の約20%を税金(所得税15%+住民税5%)が課されることになりますが、iDeCoの場合はこの運用益に対する税金が非課税となっています

この点については、「NISA」でも同様の効果がありますので、「iDeCo」特有のメリットという訳ではありませんが、2割もの税金が非課税となる効果は大きいですよね。

運用益は非課税であるというiDeCoのメリットですが、結局は満期まで払い戻しできないので、満期まで運用益が確定しないのだから、メリットと言えるのかという疑問も生じます。

この点については、運用益が非課税となることで運用益の全額が再投資されるので、その分だけ複利の効果を得られるということのようです。

受取時の節税

「iDeCo」は、運用益に対する税金は非課税となっていますが、受取時には税金が課されます。ただ、老後の公的年金不足を補うための公的な制度であることを考慮し、通常の収入とは区別して、税金を低くする救済措置が準備されています。

「iDeCo」の受取方法は、次の3種類となっており、受取方法によって税金を軽減するために適用される救済措置が異なります。

  • 「一時金」として一括で受け取る方法
  • 「年金」として少しずつ受け取る方法
  • 「一時金」と「年金」とを組み合わせて受け取る方法

「iDeCo」の満期時に運用額を「一時金」として一括で受け取る場合に適用されるのが「退職所得控除」です。退職金制度のない会社にお勤めの方や退職金が少ない方などであれば、この救済措置を利用することで「iDeCo」の受け取り時の税金をゼロにできる場合もありますが、退職金が多い方は全額を一時金として受け取ると税額が高くなる可能性があるので注意が必要です。

もう一つの救済措置が「年金」として受け取る場合に適用される「公的年金等控除」を利用する方法です。企業からの退職金の額が多い人の場合、「iDeCo」の受け取りに「退職所得控除」が利用できない場合があります。そのような場合は「iDeCo」を「一時金」として受け取るのではなく「年金」として受け取ることで「公的年金等控除」を利用することができます。

また、「一時金」と「年金」とを組み合わせて、「退職所得控除」と「公的年金等控除」と併用することで納める税金を減らすという方法もあります。

退職金が多く、年金額も非課税枠を超えるような方は、60歳から65歳の年金支給前の期間は非課税枠内で「年金」として受取り、年金の支給開始後に「一時金」として受け取ることで、税額の総額を削減することが出来るようです。

これらの満期時に運用額を受け取る際の課税については、税務的な知識も必要となり、すぐには理解できませんので、また機会があれば勉強して記事にしたいと考えています。

私の理解不足で何が正解か分かりませんが、iDeCoを始めるにあたっては、この辺りも研究した方が良いと思います。

iDeCoのデメリット

途中での引き出しが出来ない

「確定拠出年金(iDeCo)」という名前のとおり、iDeCoは年金制度の一種です。毎月決まった金額を投資信託などに積み立てて運用し、60歳以降に年金または一時金で受け取ることができる年金制度となっています。

そのため、いつでも引き出し可能な「NISA」や「つみたてNISA」とは異なり、一旦積立てを開始すると、60歳までは払い戻すことは出来ません

資金に余裕がなくなった場合、以降の積立額を減らしたり、積立て自体を中止することはできますが、既に積立済の資金を期間中に払い戻すことはできないので、注意が必要です。

つまり、iDeCo口座に積み立てた金額は、60歳までは塩漬けされることになりますので、仮に急にお金が必要になったとしても、手が付けられなくなります。iDeCoを始める場合は、この点も十分に理解しておいたほうがよいと思います

口座の管理・運用費用が生じる

iDeCoを始める際には、銀行や証券会社などに「iDeCo専用口座」を開設する必要があるのですが、専用口座の開設や維持管理には手数料がかかります

開設時の手数料として、「加入・移換時手数料(初回1回のみ)」が必要です。この手数料は、国民年金基金連合会に対する手数料となっていますので、どこの金融機関で口座を開設しても一律2,829円となっています

開設時の手数料のほかにも、口座の維持に関する手数料として、次のような費用が毎月発生します。手数料は運営管理機関、国民年金基金連合会、事務委託先金融機関の3社に対して支払う必要があります。

  • 口座管理手数料:金融機関により異なる
  • 国民年金基金連合会手数料:月額105円(年間1,260円)
  • 事務委託先金融機関手数料:月額66円(年間792円)

これらの費用はコストとなりますので、長期的な運用が前提となるiDeCoでは、可能な限り少なくする方が良いですね。

この点からすると、上記の手数料のうち、金融機関によって差が生じる運営管理機関の手数料となる口座管理手数料は、金融機関の選択により削減することもできます。

最安値は手数料無料ですが、月額数百円が必要となる金融機関もあるため、専用口座を開設する際は、維持手数料の安い金融機関を選ぶことをおすすめします。

国民年金基金連合会の手数料(105円)と事務委託先金融機関手数料(66円)はどこの金融機関でiDeCoで加入しても同額となっていますが、国民年金基金連合会に支払う手数料は掛金拠出時のみ発生することから、年単位での拠出とすることで削減することも可能です。

特別法人税が課税される可能性がある

皆さんは「特別法人税」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「特別法人税」とは、企業年金(厚生年金基金、確定給付年金、確定拠出年金等)の積立金(拠出金+運用益)に対して、年率1.173%(国税1%・地方税0.173%)で毎年課税される税金です。

「法人税」と名前がつくので、個人には全く関係のない話だと思われるかもしれませんし、「企業年金なんだから、iDeCoには関係の無い話」と思われるかもしれません。しかし、この特別法人税は、確定拠出年金であるiDeCoの資産も課税対象となります

しかも、「特別法人税」は運用資産である積立金に対して課される税金となっているため、利益の有無に関係なく課税されます。また、その性質上、運用益が膨らむほど課税される額が大きくなります。

このようにiDeCoにも大きな影響を及ぼす可能性がある「特別法人税」ですが、バブル経済の崩壊によって企業年金の運用環境や状況が悪化したことを受けて1999年に課税が凍結されました。

その後、数年おきに凍結の延長措置がとられており、現在は平成32年(2020年)まで凍結されていますので、確定拠出年金がスタートした2001年以降、一度も特別法人税は課税されていないことになります。

特別法人税については、金融機関の各種団体からも凍結ではなく制度廃止の要望がでているので、将来的には廃止されるかもしれませんが、現時点では再開する可能性も否定できません。

このように、特別法人税が復活するとiDeCoでも大きな問題になるのは間違いありませんし、給付額が約2割も減少するという試算もありますので、この点がiDeCoを始めるにあたっての一番の不安要素かもしれません。

まとめ

今回は、「個人型確定拠出年金(iDeCo)」とはどのような制度なのか、どのようなメリットやデメリットがあるのかについてご紹介しました。

日本人の国民性からすると、株式などでの運用は怖いというイメージが強いため、上手く運用すれば、将来の年金資金として準備することもできる制度であるにもかかわらず、広く利用されていない感じもあります。

iDeCoには、税制面を中心にメリットがある一方、将来の経済状況や特別法人税といった不確定要素があることも事実ですので、これらの点を良く理解した上で、制度を利用するかを検討していく必要がありそうです。

老後の年金不足が話題になるなど、将来に対する不安がある中、少しでも老後の資金を準備したいところですので、税制面での優遇措置があるiDeCoを上手く活用して資金を運用できれば良いですよね。

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